グルレノ,腐あり 2025/02/02 Sun その扉を開けてはいけない2部くらいのグル→レノの話。明確にCP要素あります。いつかレノ視点を書きたいと思ってから数年経ってる。続きを読む補給のために立ち寄った島で、私達はいつものように宿の部屋で酒を飲みながらカードに興じている。島に到着したころから風が強くなりだした。レノが聞いた話によると今夜には嵐が来るという。酒瓶が半分空いたころだろうか。レノがおもむろに口を開いた。「旦那はやっぱり凄いな。どんな時でも紳士だ」「そんなことはない。私は醜い存在だ」「少なくともオレはアンタのことをいい男だと思ってるぜ?」またこの笑みだ。それなりの時間を共に過ごして気が付いたが、レノは時々戦闘やギャンブルに臨むときや仲間たちと接するときとは少し違う表情を見せることがある。初めて私のことを「旦那」と呼んだあの日に見せた笑み、銃を教わった時に微かに触れた指の温度、船室で共に飲む時の穏やかな目。この声が、ぬくもりが、表情が、私を虜にするのだ。できるなら、私以外にこの表情を見せて欲しくないなどと邪な思いを抱いてしまうほどには。「今度また新しい遊びを教えてやるよ。旦那ならすぐに覚えられるはずだ」「それはありがたいが、私などにこんなに時間を割いていいのか」「オレは旦那だからそう言ってるんだぜ?」レノはこんな異形の私にも優しい。彼にとってはきっと何も知らない子供にものを教える感覚なのだろう。だが、私にとっては。「なあ旦那、もっとこっちに来いよ」今日のレノは少し様子が変だ。ふと酒瓶を見ると先程より酒の残量が明らかに減っている。普段より明らかにハイペースだ。火照った顔にとろんとした紫の瞳が嫌でも目に入る。これ以上は色々な意味でまずい。「レノ、飲みすぎだ。そろそろ止めたほうが…」一際雨音が強くなった。窓枠も先程からガタガタと音を立てている。今にも壊れてしまいそうだ。「なあ旦那、オレは…」一瞬窓から光が見え、ドカンと音がした。すぐ近くに雷が落ちたのだろう。「すまないレノ、何か言ったのか?」「…いや、大したことじゃない」「…そうか」彼は何を言おうとしていたのだろうか。私に聞かれたくないようなことだったのだろうか。世界から祝福されるような「なにか」を持っている君とは違い、私は世界に疎まれる、おぞましい存在だ。こんな醜い異形が君に他の仲間とは違う特別な想いを抱いている、なんて君が知ったらどう思うのだろうか。きっと気味悪がられ、今まで通りに接してくれないだろう。だが、もうこの想いを断ち切ることなど不可能な領域になっているのかもしれない。君が駄目だと言おうと一生好きでいたい、なんて思ってしまったのだから。畳む
2部くらいのグル→レノの話。明確にCP要素あります。いつかレノ視点を書きたいと思ってから数年経ってる。
補給のために立ち寄った島で、私達はいつものように宿の部屋で酒を飲みながらカードに興じている。島に到着したころから風が強くなりだした。レノが聞いた話によると今夜には嵐が来るという。
酒瓶が半分空いたころだろうか。レノがおもむろに口を開いた。
「旦那はやっぱり凄いな。どんな時でも紳士だ」
「そんなことはない。私は醜い存在だ」
「少なくともオレはアンタのことをいい男だと思ってるぜ?」
またこの笑みだ。それなりの時間を共に過ごして気が付いたが、レノは時々戦闘やギャンブルに臨むときや仲間たちと接するときとは少し違う表情を見せることがある。初めて私のことを「旦那」と呼んだあの日に見せた笑み、銃を教わった時に微かに触れた指の温度、船室で共に飲む時の穏やかな目。この声が、ぬくもりが、表情が、私を虜にするのだ。できるなら、私以外にこの表情を見せて欲しくないなどと邪な思いを抱いてしまうほどには。
「今度また新しい遊びを教えてやるよ。旦那ならすぐに覚えられるはずだ」
「それはありがたいが、私などにこんなに時間を割いていいのか」
「オレは旦那だからそう言ってるんだぜ?」
レノはこんな異形の私にも優しい。彼にとってはきっと何も知らない子供にものを教える感覚なのだろう。だが、私にとっては。
「なあ旦那、もっとこっちに来いよ」
今日のレノは少し様子が変だ。ふと酒瓶を見ると先程より酒の残量が明らかに減っている。普段より明らかにハイペースだ。火照った顔にとろんとした紫の瞳が嫌でも目に入る。これ以上は色々な意味でまずい。
「レノ、飲みすぎだ。そろそろ止めたほうが…」
一際雨音が強くなった。窓枠も先程からガタガタと音を立てている。今にも壊れてしまいそうだ。
「なあ旦那、オレは…」
一瞬窓から光が見え、ドカンと音がした。すぐ近くに雷が落ちたのだろう。
「すまないレノ、何か言ったのか?」
「…いや、大したことじゃない」
「…そうか」
彼は何を言おうとしていたのだろうか。私に聞かれたくないようなことだったのだろうか。
世界から祝福されるような「なにか」を持っている君とは違い、私は世界に疎まれる、おぞましい存在だ。こんな醜い異形が君に他の仲間とは違う特別な想いを抱いている、なんて君が知ったらどう思うのだろうか。きっと気味悪がられ、今まで通りに接してくれないだろう。だが、もうこの想いを断ち切ることなど不可能な領域になっているのかもしれない。君が駄目だと言おうと一生好きでいたい、なんて思ってしまったのだから。畳む